今年10月から、「介護職員処遇改善交付金」が民間介護事業者などに交付されることになっています。
「介護職員処遇改善交付金」は、常勤の介護職員1人につき1万5000円/月の賃金引き上げを目指して交付されるものですが、制度そのものが2011年度までの期限付きであるため、民間介護事業者は交付金の扱いに戸惑いを感じているようです。
6月下旬に行われた厚生労働省の「第64回社会保障審議会介護給付費分科会」では、交付金についての質問が相次ぎました。
こうした状況を受け、7月27日に行われた日本在宅介護協会東京支部によるトップセミナーでは、介護人材係長の宮平弓子氏が、交付金の概要や実施要領案を説明した上で、申請書の書き方などを記入例を示しながら解説しました。
「介護職員処遇改善交付金」をどのように介護職員へ支給するかという点も、介護事業者にとっては悩ましい点であるようです。
「介護職員処遇改善交付金」が期限付き制度である以上、基本給を引き上げるか、それとも一時手当として支給するか、といった決断を安易に下すわけにはいかないためです。
たしかに、2012年度以降、介護職員の給料を再び引き下げるという措置は難しいでしょう。
また、介護職員だけの賃上げ導入は、介護現場に不平等感を蔓延させる可能性もあります。
セミナーでは、淑徳大学の結城准教授も、交付金を支給することは介護保険制度の競争原理の失敗を認めるのと同じだという意見を出し、交付金ではなく、介護報酬自体を引き上げるべきだと主張しました。
介護に携わる方の労働と対価のバランスが決していいとはいえない現状を、一時的な交付金で改善しようとする考えは、介護現場の人手不足の抜本的解決策にはつながらないのではないでしょうか。