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2008年5月30日金曜日

沖縄県が発表した高齢者虐待に関する貴重なデータ

28日、沖縄県高齢者福祉介護課が、2007年度における県内各市町村の家庭内高齢者虐待件数の調査結果を公表しました。

全国的にも顕在化しつつある高齢者虐待の実態を知る上で、貴重なデータと言えるかもしれません。

調査結果によると、沖縄県内における高齢者虐待発生件数は、前年度比21件増の126件だったそうです。

最も多かったのは息子からの虐待で、66件と全体の52%を占めています。

また、被虐待者の9割を女性が占めている点も特徴的でした。

虐待者数の内訳では、息子の以外に、配偶者が24件(19%)、娘15件(12%)、嫁6件(5%)と続き、高齢者の身近な存在による虐待が多数を占めていることがわかります。

虐待が発生した世帯状況をみると、同居が8割、別居2割で、虐待者、被虐待者が同居しているケースが圧倒的に上回っています。

被虐待者となるのは女性が多く、その内半数以上の69人(55%)には認知症の症状が認められました。

発生した虐待の種類(複数回答)では、身体的虐待が82件(65%)で最も多く、次に暴言などの心理的虐待が62件(49%)、年金の搾取など経済的虐待が47件(37%)、世話を放棄するネグレクト31件(25%)と続きます。

虐待が発覚したきっかけとしては、介護支援専門員(ケアマネジャー)からの通報が最多で39件に上り、以下、家族以外の親族16件、虐待を受けた本人15件、同居家族5件、虐待者2件、ホームヘルパー2件と続き、その他が60件でした。

県高齢者福祉介護課は、高齢者虐待件数の増加の理由として、高齢者虐待への認識が高まり通報者が増えたことを挙げています。

高齢者虐待の背景には、家庭内介護の孤立化があります。

ケアマネジャーからの通報が、高齢者虐待の実態を明らかにしたことからもわかるように、在宅介護への外部からの支援が、今後さらに重要性を増していくのは確実なようです。

2008年5月29日木曜日

物価高で悲鳴を上げる介護保険施設に食費値上げの動き

留まるところを知らない原油価格や食品の高騰が、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの経営を圧迫している現状が明らかとなりました。

物価高と、介護報酬引き下げに伴う収入減とのダブルパンチを受け、介護保険施設の中には、経営が火の車状態になりかけているところも少なくありません。

そうした状況下、いよいよ利用者の食費値上げに踏み切る施設が現れてきました。

たとえば、長野県飯田市にある某特別養護老人ホームの場合、介護サービスとデイサービスを合わせた収益が、昨年度、2000年の開所以来、初めてマイナスに転じたそうです。

前年度にくらべ、食材費が300万円増の約2450万円に達し、送迎車などに使うガソリン代も、およそ30万円増の175万円になるなど、最近の物価高の影響をもろに浴びた格好です。

この特養老人ホームの保険収入の内訳を見ると、2002年度には2億800万円あった収入が、介護報酬の段階的な引き下げにより、昨年度は1600万円減の1億9200万円にまで落ち込みました。

同特養老人ホームには、平均年齢85歳の54人の高齢者が入所していますが、その9割は、低所得の住民税非課税世帯に属しています。

こうした事情から、1日1380円を超える食費が補助対象外になる点も、施設経営を苦しめているようです。

この特養老人ホームは、電気、水道の節約に加え、直接仕入れによる食材費の節約といった、経費節減策に努めてきましたが、その取り組みにも限界がきたとのこと。

低所得世帯の入所者が大半を占める現状では、食費を上げたとしても、施設負担分が増えるだけです。

逼迫した介護施設の経営状態は、当然のことながら、入所者への介護サービスの低下につながっていきます。

今後、介護報酬が上がらなければ、経営が行き詰まる施設数は、増加の一途をたどるでしょう。

厚生労働省は、各施設の経営状況を的確に把握し、介護報酬の引き上げを真剣に検討すべきではないでしょうか。

2008年5月24日土曜日

野党側が提出した後期高齢者医療制度廃止法案の中身

23日、民主、共産、社民、国民新党の野党4党は、75歳以上の高齢者を対象にした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)を来年4月1日付で廃止し、旧老人保健制度を復活させる法案を参議院に提出しました。

野党4党の幹事長は、6月4日に参院を通過させることを確認ましたが、与党の反対で寸法案の成立は困難をきわめる模様です。

野党側は、新法案に対する政府・与党の対応を見た上で、福田首相の問責決議案を提出すべきか否かを判断するとのこと。

この法案には、後期高齢者医療制度の廃止に先立って、次のような項目を実施することが盛り込まれています。

①年金からの保険料天引きは、遅くとも今年10月からは実施しない
②保険料負担を、遅くとも10月から軽減させる
③被扶養者からの保険料の徴収の凍結を、10月以降も継続していく

民主党は、後期高齢者医療制度の中身が、75歳以上の高齢者だけを切り離して別の医療制度にするという差別的なものである点を、厳しく指摘してします。

現後期高齢者医療制度をひとまず廃止し、従来の医療制度に戻してから、医療制度改革を再考すべきだというのです。

民主党は、高齢者医療制度の廃止に伴って新たに必要となる公費負担を数千億円規模と試算し、特別会計の積立金などで対応する考えです。

これに対し、自民党の伊吹幹事長は、野党4党が提出した廃止法案について、次のように批判しています。

「元の制度に戻すことは、現役世代に青天井の負担を求め、世代間のぎくしゃくした関係を作り出す」

また、福田首相は、23日夜、「状況によっては、(野党側と)協議する余地はある。まずは論拠をしっかりと双方で述べることが大事だ」とコメントしました。

今回の後期高齢者医療制度廃止への動きには、来るべき総選挙に向けた野党側のパフォーマンス的な側面も確かにあります。

しかし、欠陥だらけの高齢者医療制度を一度廃止した上で、高齢者への負担を軽減した新たな医療制度を実現するという案は、一考に価する道筋かもしれません。

いずれにせよ、与党側は、総選挙の洗礼を受けずに小手先の制度改正でお茶を濁すような姑息な策略を捨て、一日も早く解散総選挙を実施し、潔く国民に信を問うべきではないでしょうか。

2008年5月21日水曜日

社会福祉系大学への入学志願者が激減した理由とは?

人材不足が深刻化している福祉現場の状況に、さらに拍車がかかることをうかがわせるデータが明らかになりました。

社会福祉系大学への入学志願者が、2005年をピークに減少の一途をたどっているというのです。

予備校大手の河合塾(名古屋市)の調査によれば、今春、社会福祉系大学へ出願した受験者は、およそ3万4千8百人で、昨年度よりも約2割減少したことになります。

学生たちは、過酷な労働条件と低賃金にあえぐ福祉労働者の現状を知り、福祉職に就くことを敬遠しつつあるようです。

5月18日に東京都内で開催された「福祉関係者共同フォーラム」の実行委員会によれば、福祉施設職員の賃金は、正規職員の場合でも、10~20万円程度に留まっています。

この数字は、全産業の平均賃金の約6割にすぎず、若年福祉労働者の平均年収は、200万円に満たないのが現状です。

まさに、「ワーキングプア」状態を強いられていると言っても過言ではありません。

介護職の離職率は20.2%に達し、全産業平均の17.5%を、3%も上回っているのです。

このような福祉労働者の過酷な状況を反映し、社会福祉系の大学や専門学校で介護福祉士や社会福祉士の資格を取得しても、将来に希望を抱けないという理由から、福祉関係への就職を選択しない卒業生が激増しています。

社会福祉学科を設けている某私立大学では、かつては学生の7~8割が社会福祉士の資格を取得していたのに対し、2年ほど前からは、4割程度にまで激減してしまいました。

河合塾の調査では、長引く不況で大企業への就職が厳しかった頃は、学生の間での資格志向が根強かったため、社会福祉士や介護福祉士の資格を取得できる社会福祉系大学の人気は、きわめて高かったそうです。

ところが、企業の業績がもちなおし、新卒者の就職枠が拡大した2~3年前から、大学進学希望者をとりまく環境は一変しました。

社会福祉系大学への志願者数は大幅に低下し、就職先の選択の融通が利く経済学部や法学部の人気が復活しつつあります。

こうした現状を見る限り、国は、福祉施設や介護施設における人材を確保するために、福祉職や介護職の労働条件を大幅に改善するべく、早急に抜本的な施策を打ち出す時期にきているようです。

2008年5月15日木曜日

後期高齢者医療制度の与党側見直し案の空虚な中身

与党は、6月中にも、後期高齢者医療制度の見直し案を提出することを決めたようです。

自民、公明両党は、民主党など野党が制度自体の廃止を求めているのに対し、制度の骨格を維持することを前提に、低所得者層の保険料負担の軽減を軸にした改善策を打ち出そうとしています。

自民党の大島理森国会対策委員長は、今回の見直し案の検討について、次のように述べています。
「後期高齢者医療制度について改善する勉強を始めている。6月末ぐらいまでに研究し、正すべきところは正していかないといけない」

まだ「勉強を始めている」段階とは、保険料負担に苦しむ高齢者には、なんとも悠長な言葉に感じられるでしょう。

4月の衆院山口2区補選における自民候補の大敗は、自民党幹部に衝撃を与えました。

選挙の敗因は「後期高齢者医療制度への批判」であった点を痛感し、与党の一角である公明党は、すでに見直しに着手しています。

自民党の重鎮、堀内光雄元総務会長は、5月10日、福田首相に対し、後期高齢者医療制度の抜本的見直しを進言したそうです。

福田首相は、2度目の保険料天引きが実施される6月13日までに、新医療制度導入に伴う問題点を点検するとの方針を明らかにしています。
しかし、「運用面での改善で、法改正にはならないだろう」と語る某自民党幹部の言葉を聞く限り、与党側は、法改正まで踏み切る気はさらさらなく、制度の運用改善程度でお茶を濁す構えのようです。

わずかな年金から保険料を有無を言わさず天引きするという、非情きわまりない後期高齢者医療制度。

民主党の山岡賢次国対委員長によれば、野党4党は、26日以降に、後期高齢者医療制度廃止法案の提出を検討しているとのこと。

野党側は、後期高齢者医療制度の存廃を政争の具にするのではなく、後期高齢者医療制度の廃止または抜本的改正を目指し、実効性のある、国民にわかりやすい手法を用いて、与党側の巧妙な国会運営に立ち向うべきでしょう。

2008年5月8日木曜日

重度障害者に後期高齢者医療制度への加入を「強制」した10道県の無慈悲

後期高齢者医療制度の運用上の欠陥が、またもや露呈しました。

10道県が、後期高齢者医療制度への加入は任意となっているにもかかわらず、医療費助成の継続を希望する65~74歳の重度障害者に対し、後期高齢者医療制度への加入を義務づけたのです。

しかし、後期高齢者医療制度へ加入すると保険料負担が増えるため、10道県で、計3418人が加入手続きを拒否しているそうです。

これら各自治体にしてみれば、後期高齢者医療制度加入者の方が財政負担を軽くしてくれるということなのでしょうが、障害者の中には、負担増か医療費助成打ち切りかの厳しい選択を迫られている方もいらっしゃいます。

10道県と加入拒否者数の内訳は、下記の通りです。

○福岡1423人
○北海道666人
○愛知318人
○青森280人
○茨城275人
○栃木180人
○山口86人
○富山70人
○山形60人
○徳島60人

全都道府県が実施している障害者への医療費助成では、一定の障害があれば、都道府県と市町村が医療費負担を折半し、障害者本人負担をなくしたり、軽減したりしてきました。

障害者への医療費助成における自治体の負担割合についてみると、後期高齢者医療制度の加入者は1割ですみますが、国民健康保険や企業の健康保険の加入者の場合は、65~69歳で3割、70~74歳で2割(2008年度は1割)と、負担割合が高くなります。

これら10道県は、市町村も含めた自治体の持ち出し負担額を減額するべく、後期高齢者医療制度への加入を医療費助成の条件にしたわけですね。

後期高齢者医療制度加入を拒否した方の多くは、障害を抱えながら職業をもち、さらに家族を扶養していらっしゃいます。

勤務先の健康保険に入って家族を扶養している方が後期高齢者医療制度に移行した場合、加入者本人以外の家族全員が、個別の国民健康保険などに加入し、各人が別々に保険料を支払わなければならなくなりますから、負担総額が大幅に増えるケースも出てくるでしょう。

障害者に後期高齢者医療制度加入を強制した10道県の多くは、「医療費負担と新制度の保険料負担を比べた本人の判断」に任せ、各障害者に対し特別な対応はしてはいません。

制度という「枠組み」を作るだけで、運用上の不備や欠陥の処理に関しては、すべて自治体任せにしている厚生労働省。

その無策、無責任ぶりは、厳しく糾弾されてしかるべきでしょう。

今回選択を迫られた障害者の多くは、ぎりぎり生活の中で何とか経済的自立を維持してきた方々です。
助成を打ち切られ、病院での受診を自粛される方も出てくるのではないでしょうか。

10道県の各担当部署は、今回の措置が障害者の健康状態に及ぼす悪影響を考慮し、早急な見直し措置を検討するよう求められています。

2008年5月1日木曜日

介護職員の賃上げに踏み切るニチイ学館

介護業界の人材不足が深刻化する中、コムスンが運営していたグループホームや有料老人ホームなどを引き継いだニチイ学館は、職員の賃金を引き上げようとしています。

ニチイ学館の担当者によれば、「ニチイもコムスンと賃金が変わらない」という言葉を残し離職する者が、後を絶たないからだそうです。

さらに、病院が診療報酬改定を背景にして看護師集めに走り、介護分野に人材が集まりにくい状況も、ニチイ学館に危機感を抱かせたようです。

ニチイ学館はまず、看護師の賃金アップさせ、続いて、非常勤職員、常勤職員の賃金も引き上げる予定です。

昨年11月にニチイ学館が引き継いだ施設は、介護付有料老人ホーム「コムスンホーム」、グループホーム「コムスンのほほえみ」の合計230施設で、職員数は7500人に上りました。

また、コムスンから引き継いだ施設のうち、コムスンが指定業者打ち切り処分を受けた後で凍結されていた計画中の施設は、21施設ありました。

ニチイ学館は、事業継承後に施設建設計画を見直し、今年2月~4月にかけ、16施設の運営開始にこぎつけました。

残る5施設についても、6月までに開業予定です。

ニチイ学館が運営する各施設の入居者は、順調に増加しており、グループホームの一部では待機者を出すほどの盛況ぶりだそうです。

介護施設の収益性は、訪問介護のそれを上回ると言われるものの、正規職員の確保が厳しいのが現状です。

泊まり勤務などもある施設介護は、訪問介護以上に、専門性の高い正規職員をより多く必要とします。

ところが、激務や低賃金がたたり、介護分野の就職希望者の減少化傾向に、歯止めがかかる様子はまったくありません。

ニチイ学館では、これまで、系列養成講座受講者の採用などで職員を補填してきました。

しかし、昨年の介護者養成講座の受講者は、63000人と、ピーク時の半分以下にまで落ちたそうです。

都心部での人材不足は特に深刻なため、従来は実施していなかった職員の一般募集を開始したとのこと。

ニチイ学館の賃上げへの取り組みは、介護職員の就労意欲を向上させ、施設における介護サービスの質向上にも、確実に好影響を与えることでしょう。

同業各社にも、ニチイ学館の姿勢をぜひ見習ってもらいたいものです。