大量の長期失業者を認知症患者の介護要員として育成しようというプロジェクトがドイツ国内で稼動し始め、大きな議論を呼んでいます。
このプロジェクトは、数千人規模の長期失業者に対し、認知症患者の介護要員になるための教育訓練を実施するというものです。
7月1日、ドイツでは、老人ホームにおける認知症患者の介護要員を増員する法律が施行されました。
法律の施工にともない、12ヵ月以上失業中の労働者の中で医療保健関連の勤務経験がある求職者に対し、介護要員として育成するための訓練を施すことになりました。
各職業安定所によると、訓練はすでに全国各地で開始されているそうです。
このプロジェクトは、9月までに約1万人の雇用創出を目指しており、保険会社数社の資金提供のみならず、連邦保健省のお墨付きをも受けています。
しかし、精神疾患の専門家たちを中心に、プロジェクトの中身に疑問を呈する識者も多いようです。
介護現場はモチベーションが高い人材を必要としているのであって、誰でも良いというわけにはいかないという異論の声も、各方面から上がっています。
プロジェクトに反対するドイツ・アルツハイマー協会は、わずか160時間の理論学習と数回のインターンシップ経験のみの訓練内容を問題視しています。
アルツハイマー協会によれば、介護アシスタントになるためには、通常は900時間の訓練が必要なのだそうです。
こうしたさまざまな異論に対し、連邦議会のキリスト教民主同盟は、このプロジェクトを歓迎する意向を表明しています。
「キャリアに汚点がある人でもこうした資格が得られるならば、素晴らしいことではないか」というわけです。
このプロジェクトに関する議論のゆくえは、長期失業者を抱える多くの国々にとっても、非常に興味深いものとなりそうです。
いずれにせよ、議論の前提として、認知症患者の利益にかなうかどうかを最優先に考えていくべきではないでしょうか。