秋田県小阿仁村は、人口が県内最少の約3千人、高齢化率が40%以上という過疎の村です。
小阿仁村は、今年度から、高齢者を在宅介護する家族対し、介護サービス費として「報酬」を支払う事業を展開しています。
介護する側の世代を家計的に手助けしようと始めたこの取り組みは、全国的に見ても非常に珍しい事例と言えるでしょう。
小阿仁村の介護事業所は、訪問介護など行う村社会福祉協議会を含めても、わずか3ヵ所しか設置されておらず、家族が介護を担うケースが少なくないそうです。
村内唯一の特別養護老人ホームはといえば、70人以上が入所待ちの状態であるとのこと。
小林宏晨小阿仁村長によれば、親が施設に入る共働き夫婦の世帯と、家族が仕事を辞めて無報酬で介護する世帯の経済的格差を縮めようというのが、介護サービス費の支給に踏み切った理由のようです。
この介護サービス費支給事業は、介護保険法に基づく特例居宅介護サービス費を活用し、介護家族を、ホームヘルパーなど有資格者でなくても"事業者"とみなし、その"事業者"に対し「報酬」を支給する仕組みになっています。
小阿仁村では、原則として、要介護3―5の高齢者を就業せずに介護する家族らを介護サービス費支給事業の対象者と認定しています。
小阿仁村が定める介護サービス費支給基準額は月額12万円で、この中から介護事業所のサービス利用額などを引いた金額が支給されるそうです。
小阿仁村の介護サービス費支給事業担当者によれば、4月分を受給した13世帯の平均受給額は、月額にして約4万6千円でした。
介護サービス費支給事業は、小阿仁村の村民の間では概ね好評のようです。
しかし、小阿仁村のこの取り組みには、一部で異論の声も上がっています。
たとえば、要介護者を抱える家族への報酬支給は、女性の離職を促しかねないと危惧する高齢福祉関係者もいるようですので、小阿仁村の新しい試みが全国規模で拡大していくかどうかは、現段階では不分明であると言えるでしょう。