2008年度の介護事業者の倒産件数は、2000年度に介護保険制度が導入されて以来、過去最悪のペースで増え続けていることが、民間信用調査会社・東京商工リサーチの調査によって明らかになりました。
今年度1~5月までに倒産した介護事業者の負債総額は、100億9千3百万円におよび、過去最悪だった2006年度1年間の114億7千9百万円の9割近くにまで達しているというのです。
倒産件数は21件で、過去最悪だった2007年の35件の6割に相当する数字となっています。
これらの介護事業者が倒産に追いこまれた要因としては、まず、給付費が抑制されたため、介護事業者に支払われる介護報酬が、2006年度の改定で引き下げられたことが挙げられます。
また、各介護施設における人手不足が深刻の度を増し、人材確保がままならない介護事業者が増加したことも、倒産件数増加の大きな一因をなしているようです。
背景としては、介護事業者同士の競争激化や、行政による規制強化なども、かなりの影響を及ぼしていると言えるでしょう。
無論、こうした介護事業者の苦境は、介護施設の現利用者に直接的な打撃をあたえることでしょう。
2008年の倒産事業者の内訳は、訪問介護が9件、介護施設(特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど)が12件でした。
2007年度の倒産件数は、訪問介護が18件、介護施設が17件でした。
総負債額は77億7千3百万円で、2006年よりは減少したものの、これらの数字には、訪問介護事業最大手だったコムスンの事業撤退の数字などは含まれていません。
東京商工リサーチの分析によれば、訪問介護分野は、報酬引き下げの直撃を受け、介護施設系の場合は、食費と居住費が全額利用者負担となったことが、倒産の主要因と言えそうです。
つまり、食費と居住費の負担に耐え切れず、利用者が退所してしまうこともあるからです。
食費と居住費の全額を利用者から受け取るのが難しいため、大幅な減収に見舞われた介護事業者も少なくありません。
介護事業者が倒産に追い込まれ、介護事業から撤退すれば、利用者は満足のいく介護サービスの提供を受けられなくなり、介護施設からの退去という最悪の事態に追い込まれる可能性もあります。
厚生労働省は、こうした介護業界の惨状を直視し、2009年度の介護保険制度の改定では、報酬引き上げについて真剣に検討する必要性に迫られています。