留まるところを知らない原油価格や食品の高騰が、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの経営を圧迫している現状が明らかとなりました。
物価高と、介護報酬引き下げに伴う収入減とのダブルパンチを受け、介護保険施設の中には、経営が火の車状態になりかけているところも少なくありません。
そうした状況下、いよいよ利用者の食費値上げに踏み切る施設が現れてきました。
たとえば、長野県飯田市にある某特別養護老人ホームの場合、介護サービスとデイサービスを合わせた収益が、昨年度、2000年の開所以来、初めてマイナスに転じたそうです。
前年度にくらべ、食材費が300万円増の約2450万円に達し、送迎車などに使うガソリン代も、およそ30万円増の175万円になるなど、最近の物価高の影響をもろに浴びた格好です。
この特養老人ホームの保険収入の内訳を見ると、2002年度には2億800万円あった収入が、介護報酬の段階的な引き下げにより、昨年度は1600万円減の1億9200万円にまで落ち込みました。
同特養老人ホームには、平均年齢85歳の54人の高齢者が入所していますが、その9割は、低所得の住民税非課税世帯に属しています。
こうした事情から、1日1380円を超える食費が補助対象外になる点も、施設経営を苦しめているようです。
この特養老人ホームは、電気、水道の節約に加え、直接仕入れによる食材費の節約といった、経費節減策に努めてきましたが、その取り組みにも限界がきたとのこと。
低所得世帯の入所者が大半を占める現状では、食費を上げたとしても、施設負担分が増えるだけです。
逼迫した介護施設の経営状態は、当然のことながら、入所者への介護サービスの低下につながっていきます。
今後、介護報酬が上がらなければ、経営が行き詰まる施設数は、増加の一途をたどるでしょう。
厚生労働省は、各施設の経営状況を的確に把握し、介護報酬の引き上げを真剣に検討すべきではないでしょうか。