新タイプの介護施設となる「介護療養型老人保健施設」(療養型老健)が、いよいよ5月からスタートします。
療養型老健は、24時間体制で看護師が配置され、従来の特別養護老人ホームや老人保健施設と比較すると、医療面が格段に充実しました。
長期療養の高齢者が入院するための「療養病床」を備えた病院が、療養型老健への転換を図ることになるからです。
療養型老健への転換は、医療費を抑制するためには療養病床を減らすしかないという、国側の強い意向に基づくもののようです。
従来「老人病院」と呼ばれてきた療養病床を有する病院には、在宅介護サービスや介護施設の不足による「社会的入院患者」が、多数入院していました。
2006年、療養病床削減方針が打ち出された際、全国の療養病床の数は、およそ35万床に上りました。
35万床のうち約23万床は医療保険が適用される医療療養病床で、残りの約12万床は、介護保険が適用される介護療養病床でした。
医療必要度が低い高齢者が、介護施設に比べ割高な病院に入院すれば、けっきょく医療費が無駄になるため、厚生労働省は、介護療養病床を2011年度に全廃し、医療療養病床も削減するという施策を推し進めたのです。
療養病床が削減された後、医療を受ける必要性が高い高齢者は、医療療養病床へ移送され、残りの高齢者は有料老人ホームに移るか、自宅療養を選択してもらうこととしました。
つまり、療養型老健は、療養病床からの高齢者の移送先の一つとして新設されたわけです。
この療養型老健には、入院するほど重篤な状態ではないものの、管を通して胃に栄養を送る経管栄養や痰の吸引といった、一定の医療行為を必要とする高齢者が入所することになっています。
また療養型老健では、終末期ケアの体制づくりにも力点が置かれています。
介護報酬の点で比較すると、療養型老健の介護報酬は、療養病床のそれよりも最大で2割下がり、当然のことながら利用者負担も軽減されます。
ただし、療養型老健に配置される医師は、100床につき1人の割合となります。
療養病床では100床につき3人だったため、病院関係者の間からは数多くの不安の声が広がっています。
たとえば、もし夜間に高齢者の容体が急変した場合、一人の医師で対応できるのか、といった点を心配しているわけです。
療養病床の療養型老健への転換が、果たして「社会的入院の問題」の抜本的な解決策となりうるのかどうか、5月以降の事態の推移に注目していく必要がありそうです。