後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が実施に移された4月以降、新保険証が届かないなどいった混乱が続いています。
4月15日からは、保険料を年金から天引きする特別徴収がいよい開始されますが、神奈川県の横浜市や、埼玉県の7市が、特別徴収を10月へ先送りすることを決定しました。
東京23区では、9区が天引きを開始し、14区が先送り決定するというように、対応が二つに分かれています。
天引きの有無が居住地しだいで異なるわけですから、長寿医療制度の今後に、一層の暗雲が漂いはじめてきたと言ってもいいのではないでしょうか。
特別徴収の先送りを決めている各自治体担当者たちからは、高齢者への周知や徴収システム構築への時間不足、個人保険料が確定する7月からの実施が妥当、といった声が聞こえてきます。
また、自治体担当者の間には、厚生労働省からの情報提供が遅いという不満も、かなり充満しているようです。
65~74歳の高齢者で、一定の障害を抱えている方は、新医療制度に移るかどうかを選択することができます。
新医療制度に移行すると保険料負担が増える場合もあり、東京都板橋区では、2月から、およそ1500人の対象高齢者すべてに対し、移行するかどうかの意志を確認しました。
都後期高齢者医療広域連合(長寿医療制度を運営する組織)は、2月に低所得者の保険料軽減を決めています。
板橋区の担当者は、新保険に移行しなかった方や、保険料が軽減される方からの保険料天引き対して、強い疑問の声を投げかけていました。
新医療制度では、10月以降、これまで社会保険の扶養家族扱いだった高齢者からも保険料が天引きされることになりますが、国民健康保険に加入していた高齢者は、4月からの天引き開始となります。
板橋区の担当者は、近隣の住民同士で、天引きされる人とされない人が出てくることを、先送りの理由として挙げています。
他方、4月からの天引きを決めている区の場合はどうでしょうか。
たとえば、天引き徴収を決めた足立区は、年間の負担額は変わるわけではないので、説明すれば分かってもらえると、比較的楽観視しているようです。
埼玉県狭山市も先送りを決めた自治体の一つです。
狭山市は、天引き徴収を保険料確定前におこなえば、超過分あるいは全額を還付する必要が生じ、混乱を助長するのではないかと危惧したため、4月からの保険料の天引きを見送りました。
長寿保険制度の被保険者数が30万人におよぶ横浜市では、社会保険からの移行と同時に実施した方がベターという理由から、天引き徴収を先送りしました。
こうした各自治体の右往左往を見るかぎり、長寿保険制度の実施プロセス自体が拙速すぎたと言わざるを得ません。
あらためて厚生労働省の猛省をうながしたいと思います。